2014年3月4日火曜日

フジモンのゴールに集約されたマリノスの強み


マリノス初勝利!
しかも新戦力2人のゴラッソ!!
危ないシーンもありましたが、マリノスが”主導権”を握って快勝しました。
広島と全北の試合内容から、
大宮もハイプレスをかけてくるだろうな…ヤバイな…と思っていたのですが、
正直、チームとしてのレベルが違いましたね。
この程度のプレスでしたら難なく突破できますし、
また、この程度の相手であれば、ハイプレスをかけて難なくボールを奪取することができます。
そういう力を今のマリノスは持っている。それが再確認できた試合でした。

ということで、
今回取り上げるシーンは、マリノスの「プレス」と「戦術・まなぶ」についてです。
たった1つの場面しか取り上げませんが、ちょっと画像が多いのでご承知おきを…。

さて、前半15分。
今シーズンの初ゴールが決まった場面です。
どういう流れでフジモンのゴラッソにつながったのか。
その過程の中に、マリノスの「強み」がいくつも発揮されていました。

では、こちらからどうぞ。
大宮がボールを保持していて、左サイドにバックパスが渡った場面です。
まず注目すべきは、フジモンの動きです。
すかさず全力で追いかけていきます。
さらに、それに応じて中央の俊さんと中町は相手DFのポジショニングを確認。
次のプレスのかけ方をすでにイメージしています。

結局はCBにボールを戻した大宮。
フジモンに追っかけられた…だけではありません。
俊さんとカンペーが横パスを狙っていますし、
翔さんもプレスバックをしっかりやっています。
ですから、CBにパスするしか選択肢がなかったわけです。

相手にチャンスを与えなかったという点では成功したマリノスのプレス。
しかし、問題はここからです。
ボールを奪わなくては意味がないのです。
あくまでサッカーはゴールの数で勝敗が決まるのですから、
攻撃のための守備をしなくてはならないのです。
ここでは、大宮がCB間でパス交換をしています。
その間に、マリノスは「4-2-3-1」のセットポジションへと修正していきます。
マークする選手を確実に捕まえられる距離間を作っているわけです。

はい。完全に適切なポジショニングをとりました。
で、ボールをどこで奪うのか、その奪い所っていうのは大体決まっていて、
相手のSBにパスを出させる、もしくはロングボールを蹴らせるといった辺りです。
今回、マリノスはどうしたかというと…

まずはサイドに追い込もうとしました。
そのために、翔さんが中側からプレスに行きます。
しかし、ここで俊さんがそのプレスを抑えようとしています。
一体なぜ…?
ちょっと画像が複雑になっているので、簡単に説明します。
まず、翔さん・俊さん・フジモンの3人のポジショニングによって、
①赤の網目の部分がシャットアウトされていて、そのエリアにはパスを出せなくなっています。(ワンサイドカットってやつです)
その結果、ボール保持者は縦パスか左SBへの横パスしか選択肢がありません。
しかし、同時にNAKAMACHI・パンゾーのポジショニングによって、
②縦パスしてもカットされる可能性が大となっています。
つまり、もはや左SBにパスするしか選択肢がないわけです。
先ほどのシーンで俊さんが翔さんを抑えた理由は、
わざとボール保持者をもう少し前まで持って来させたかったからでしょう。
この状態であれば、俊さんと翔さんでボール保持者をほぼ囲めていますが、
もし翔さんが早めに追い込みすぎたら、逆サイドに逃げられていたかもしれませんからね。

さて、完璧なプレスでボールの奪い所を作れたわけですから、
ここでフジモンはがっつりプレスに行きます。
が、残念ながら逃げられてしまいます。
キーパーにバックパスされてしまったのです。
残念!!
でも、これはこれでOKなわけです。
その理由もこの後わかりますが、
一応、大宮の状態をまとめるとこんな感じです。
SB「プレスきついから、DFラインからボールつないでいこう!」
→CB1「OK。おまえ頼むわ!」
→CB2「いや、おまえが頼まれたんだから、おまえがやれや!」
→CB1「こうなったら縦パス通したるわ!!」
→CB1「やべぇ。皆マークされてるし。サイドに逃げよう。」
→SB「またオレ?プレスきついのよ…。CBもダメだし…。もうキーパーに任せるわ…」
→GK「…こいつら、ボールつないでもチャンス作れねぇじゃん…こうなったら…」

GK「中盤も省略して、伝家の宝刀ロングボールや!!!」
こうなるわけです。
当然、GKにパスが渡るときにはマリノスのアタッカー陣がプレスに行っているので、
GKはロングボールを蹴るしかないわけです。
ところがどっこい、ここでマリノスの強みが出るわけですね。

勇蔵!!!
マリノスには空中戦にめっぽう強い2人が揃っています。
ですから、プレスをかけてボールを奪えるのならそれでOK。
もし奪えなくても、相手を焦らし続けてロングボールを蹴らせれば、それでもOK。
まさにハイブリッドディフェンス!
すべてが狙い通り。
後はセカンドボールを拾えばいいだけ。
そこにはNAKAMACHIがちゃんとポジションをとっています。

見事ボールをキープ!
素晴らしい2人の関係性です。

ただ、奪ったはいいのですが、
マリノスの選手がお互いに近すぎました。
そこで俊さんは縦に走って「深さ」を作り、
フジモンはサイドに移動して「幅」を作りました。

で、フジモンがボールを受けたのですが、
大宮のプレスが2人来ているのと、NAKAMACHIとの距離間が近すぎて、
どうしようもない状態。
並みのプレイヤーであれば、プレスに引っかかる→スローインという流れだったでしょう。
でもフジモンは違う!

トラップ1つで完全にプレスを無効化しました。
小さな黒丸がボールです。
あえて大きめなトラップをすることで、左側に空いているスペースへ見事に逃げたのです。

当然、がら空きの逆サイドへ。
この一連のプレーで、少なくとも大宮の選手たち6人は動き直しを余儀なくされました。

さらに、驚きのプレーは続きます。
パスを受けたボンバーが出したパスです。

左サイドに下平がいますから、当然そこにパスを出すと思いきや…

なんと!
下平を飛ばして、サイドに張っていたまなぶにパスを通したのです!
「ゴールの予感…」
このパスを見た瞬間、ぼくは心臓がドクンと鳴りました。
画像をよく見て欲しいのですが、完全に「まなぶモード」に入っています。
丸で囲んだ大宮の選手2人が戻ってきてはいますが、前には1人しかDFがいません。
しかし、下平が駆け上がってくるため、そのDFはほぼ居ないに等しい状態。
翔さんと俊さんも裏へと走っているため、CBも食いつけない。
あとは、まなぶがドリブルで中に入ってきてシュートorラストパス。
ゴールの確率が一気に上がった瞬間です。
ボンバー素晴らしい!!

で、まなぶは後ろから来たDFをかわしてペナに侵入!
この時点で決定機確定!!

後ろには俊さんもサポートに入っている。
あとはシュートか俊さんにラストパスを送るのみ…!!

…が、惜しくも後ろからのスライディングに引っかかってしまう!
ボールがこぼれるっ!…



フジモン!






このゴールまでの過程を説明するのに、フィールドプレイヤー全員の名前が出てきています。
まさにチーム全員で奪い取った”ゴラッソ”だったのではないでしょうか。

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